へそくり社長・続へそくり社長
監督 | 千葉泰樹 |
製作 | 藤本真澄 |
脚本 | 笠原良三 |
作品時間 | 82分/90分 |
会社名 | 明和商事 |
業種 | 商社 |
社長名 | 田代善之助 |
ロケ地 | 東京 |
この作品には後のレギュラーとなる加東大介、久慈あさみがまだ出ていない。奥さん役は越路吹雪。
【配役】
- 田代善之助(明和商事社長) ……………. 森繁久彌
- 田代厚子(その妻) ……………. 越路吹雪
- 小森信一(秘書) ……………. 小林桂樹
- 福原イネ(先代社長の妻) ……………. 三好栄子
- 福原未知子(先代社長の娘) ……………. 八千草薫
- 大塚悠子(タイピスト、小森の恋人) ……………. 司葉子
- 大塚英一(その弟大学生) ……………. 井上大助
- 赤倉(大株主社長) ……………. 古川緑波
- 赤倉悦子(その妻) ……………. 沢村貞子
- 小野田(新興実業家株主) ……………. 上原謙
- 岡本(明和商事社員) ……………. 太刀川洋一
- 部長(経理部長) ……………. 三木のり平
- 小寿々(小唄師匠) ……………. 藤間紫
- 花丸(芸者) ……………. 一の宮あつ子
- 茂子(田代家女中) ……………. 河美智子
- 澄子 ……………. 小泉澄子
【あらすじ】ネタばれあり
●へそくり社長
明和商事の社長田代善之助は、先代社長の眼鏡に適い、社長夫人の親戚筋の厚子を射止めて、今日の地位を築いていた。そんなある日、芦屋から先代社長の娘未知子が大株主懇談会出席のために上京してきた。大株主懇談会では社員や組合と折り合いをつける善之助の経営方針に対し、赤倉が異を唱え、増配を求めるものの、未知子のとりなしで何とかその場はおさまった。大株主懇談会の後、未知子は善之助に「芸者遊びをしてみたい」と言い出して、小森も含め、三人で出掛けた。小森はタイピスト大塚悠子との映画の約束をキャンセルすることとなった。善之助は座敷で未知子にのせられて、ドジョウすくいを踊った。
翌日、小森が悠子に平身低頭しているところへ再び未知子が現れ、善之助に小唄の稽古をさせたいから昨夜の料亭へつれて行けと言う。先代未亡人が善之助のドジョウすくいの話を聞いて、そのような下品な芸ではなく、小唄を始めるように薦めたためである。
善之助から小唄師匠の小寿々への手土産代の借金を申し受けた小森は、善之助にへそくりの方法を進言した。まず出張旅費をごまかす法、財布を掏られたと称する法、ボーナスの支払伝票を偽造する法などなど。
小寿々の元へ善之助が通い続けて間もなく、小寿々の誘いで善之助は呼び出され、相談事があると一緒に旅館に向かった。そこで小寿々が小料理屋を開業したいから五十万円ほど都合してくれないかと善之助に色気たっぷりに持ちかけた。そこで、善之助が先に入浴して小寿々が入ってくるのを待つが、小寿々は急用で帰宅し、残された善之助は湯あたりでダウン。悠子と映画を見るはずだった小森が映画館から旅館に呼び出された。
待望のボーナス支給日、善之助はボーナスの伝票を二本立てにして、それで小寿々への約束を果たせると喜んだ。その夜、恒例の社員慰労会で、善之助が経理部長とともに得意のドジョウすくいを見せていると、先代未亡人が未知子と妻厚子をつれて会場へ現れたので、善之助は酔いも醒め果て、その場に平伏した。
●続へそくり社長
社員慰労会の席で、善之助は先代未亡人から大株主の赤倉が社長更迭を策動していることを知らされた。早速小森が赤倉と連絡を取り、赤倉が熱海にいることをつきとめ、社長更迭策動の真偽を確かめようと善之助は熱海に向かった。赤倉は夫人に嘘をついて、小寿々と一緒に熱海に来ていた。最初は白を切る赤倉も、そこに突然赤倉夫人が現れるや俄かに意気消沈。赤倉は小寿々のことが夫人にバレるのを恐れ、小寿々を善之助の連れと押し付けると、善之助の言いなりとなって、更迭劇は終焉した。小寿々のたぬきぶりに嫌気のさした善之助はこれを機会に小唄の稽古をやめてしまった。やがて、未知子が明和商事株の買占めの調査を建前に、お婿さん探しに上京してきた。日曜日、悠子の家に結婚の申込みに行こうとしていた小森を未知子がゴルフに誘いに来た。悠子との約束はまたもや延期。しかし、ゴルフ場で未知子が偶然再会した大株主の小野田と意気投合して、小森はおいてきぼりをくってしまう。悠子には未知子とのことを誤解され、つくづく秘書稼業に嫌気のさした小森は善之助に「クビにしてくれ」と言うと、善之助も「どうせ自分も辞めさせられる」と嘆く。未知子が小野田と結婚したいらしく、そうなれば小野田が社長になるからだというのだった。二人は善之助の残ったへそくりでその夜痛飲し、小森がアパートに戻ると未知子との話し合いで誤解の解けた悠子が待っていた。一方、善之助も酔って帰宅し、開き直って初めて妻を大声で怒鳴り、逆に見直されてしまう。
株主総会の前日、未知子は小野田に呼び出され、自分が欧米に旅行に出かけるからと、株主総会の委任状を託された。小森は悠子とめでたく結婚した。
- 他のWebサイトで小唄の師匠を「小鈴」と紹介しているものがありますが、当サイトでは作品中、看板に出ていた「小寿々」としました。
- 作品中、未知子(八千草薫)が厚子(越路吹雪)を、「お姉さん」と呼んでいますが、これは親戚のお姉さんという意味で、姉妹という設定ではありません。これは、冒頭の朝の夫婦の会話のシーン(6分25秒付近)で厚子が「芦屋の大奥様」や「未知子」さんと言っているところからの判断です。
※「あらすじ」はキネマ旬報データベースの内容を元に誤記の修正や加筆を行いました。